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話題のフィッティング、クラブMOIマッチングって実際どうなの?

      2020/07/06

MOIマッチングとは?

以前から、MOIマッチングについては、関心があったのですが、正直言うとやや懐疑的でした。
慣性モーメントを計測して、振り心地を整えるという考え方は理にかなっていると思いますが、ゴルフクラブは様々なる要素で構成されているので、MOI(慣性モーメント)に寄り過ぎるのは果たしてどうなのかと。

しかし、実際に試してみないことには、軽々に評価は下せません。
そんな折、ゴルフ仲間のjunyaakuさんが、MOIマッチングを体験されたということで、急遽、体験記事を書いていただきました。

当ブログ初のゲスト投稿です。

MOIマッチングを体験しました

MOI(慣性モーメント)計測器

junyaakuです。

最近、一部、耳ざといゴルファーたちの間で流行のきざしを見せているクラブフィッティング法、「MOIマッチング」を体験しました。

MOIっていうのは「慣性モーメント(Moment of Inartia)」のことで、平たく言うと「物体の動かしにくさ」のことです。ゴルフクラブの場合は「振りにくさ」に当たります。単位はkg-c㎡で表し、数字が大きいほど振りにくくなる(振るのにより大きな力が必要になる)というわけです。
MOIは、専用の機材で数値を測定します。

従来ゴルフクラブの振りやすさの指標となっていた、「C9」とか「D2」などと呼んでいる「スイングバランス」は、「静的な」バランスを表しています。“バランス”というくらいなので、バランスポイントに重りを足せば、極端な話、同じD2のクラブでも、500gにも1kgにも作れちゃうわけです。もちろん、500gと1kgのクラブが同じ振りやすさではないことは、想像に難くありません。

クラブが長く(重く)なるにつれてMOIは大きくなります。で、簡潔に言うと、アイアンの場合、同じバランスで揃えると、長いクラブほどMOIが大きくなります。

そこで、一番打ちやすい番手のMOIに揃えるのが、MOIマッチングというわけです。

詳しくは、MOIマッチングを手がけるファルコンまつばらさんのブログをご覧ください。

MOIマッチングでスペックはどう変わる?

MOIマッチング 振り心地
さて、私のクラブセットですが、そのファルコンさんが師匠と仰ぐ、KUROさんに手掛けていただきました。MOIマッチング前のスペックは以下になります。
 

1W 45.26inch 305.4g D0.9 2805kg-c㎡
4W 42.52inch 334.2g D3.5 2775kg-c㎡
7W 41.89inch 337.0g D3.4 2749kg-c㎡
4U 39.33inch 386.4g D3.2 2711kg-c㎡
5I 38.00inch 413.6g D1.5 2671kg-c㎡
6I 37.60inch 419.6g D1.6 2660kg-c㎡
7I 37.07inch 427.3g D1.5 2647kg-c㎡
8I 36.53inch 437.4g D1.7 2641kg-c㎡
9I 36.06inch 440.1g D1.7 2622kg-c㎡
PW 35.83inch 446.5g D2.5 2641kg-c㎡
52 35.67inch 455.2g D3.1 2639kg-c㎡
56 35.39inch 469.5g D4.5 2691kg-c㎡
60 35.12inch 476.9g D4.4 2682kg-c㎡

そして以下が調整後になります。★のついたクラブが調整したクラブですが、アイアンはこのタイミングでグリップ交換も施しています。オリジナルグリップよりも2〜4g重かったようです。また、バランスは調整前後で測定方法が異なっているため若干ずれています。調整後の測定方法の方が1〜2ポイントほどバランスが重く出る傾向があるようです。
 

 1W 45.26inch 305.4g D2.2 2805kg-c㎡
★4W 42.37inch 333.0g D3.0 2750kg-c㎡
 7W 41.89inch 337.0g D4.2 2749kg-c㎡
 4U 39.33inch 386.4g D3.8 2711kg-c㎡
★5I 38.00inch 406.7g D2.0 2640kg-c㎡
★6I 37.60inch 414.9g D2.3 2641kg-c㎡
★7I 37.07inch 424.4g D2.8 2641kg-c㎡
 8I 36.53inch 431.2g D3.5 2641kg-c㎡
★9I 36.06inch 439.1g D4.0 2641kg-c㎡
 PW 35.83inch 443.8g D4.0 2641kg-c㎡
★52 35.67inch 454.1g D4.0 2641kg-c㎡
 56 35.39inch 469.5g D6.4 2691kg-c㎡
 60 35.12inch 476.9g D5.1 2682kg-c㎡

MOIマッチングで何が変わったの?

MOIマッチング アイアン
私の場合、マッチングのポイントはおもに2点ありました。

  • 得意な8番アイアンに揃えるため、5〜7番アイアンを低MOI化(※ヘッドを軽量化)
  • ウッドは、やはり得意な7番ウッドに合わせるため、4番ウッドを低MOI化(シャフトのバットカット)

その結果、

  • 5、6番アイアンが捕まるようになった。これは、いままでもそこそこ普通に打てていた(というか、長いクラブを上手く打つために無意識に力を入れて打っていたんだと思われます)のが、振りやすくなったために捕まりやすくなったんだと思います。ショートアイアンと同じ力感で打てれば問題ないのかもしれません。
  • 劇的によくなったのが4番ウッド。これは本当に7番ウッドと同じように打てるようになりました。本当に4番ウッドはいままで苦手だったので、ちょっと感動しました。

となりました。

以上の結果から考えられることは、

  • 今回は5番アイアンから52までMOIを揃えましたが、ドライバー〜フェアウェイウッド〜ユーティリティ〜アイアンとMOIが小さくなるようにフローさせてうまく打てているので、もしかしたら、アイアン内でもMOIをフローさせてもいいのかもしれません(バランスを揃えると、結果としてMOIは大→小のフローになります)。
    実際、MOIマッチングのセオリーとしても、アイアンとドライバーでドライバーの方のMOIを大きくする手法も一般的なようです。
  • ロングアイアンのMOIを小さくして捕まりやすくなったので、ロングアイアンが苦手なプレーヤー(特にヘッドスピードが40メートル/秒未満の人や、ロングアイアンが捕まらない人)には、MOIマッチングは合うかもしれません。
  • ドライバーからショートアイアンまで同じ力感で振れる人は、全クラブのMOIを合わせた方が好結果が得られるかもしれません。

まだ歴史も浅く、研究の余地も多く残されているため、万人に合うと断言することはできませんが、従来のバランス揃えのクラブでしっくりこない人や、ヘッドスピードが遅めの人、ロングアイアンが苦手な人(特に捕まらない人)には効果的なフィッティング方法かもしれません。

まとめ

MOIマッチング 結果

以上、junyaakuさんでした。

やはり、興味深いですね。
特に苦手クラブが打ちやすくなるというのは、セットとして考えたときに非常にありがたいところです。

ちなみに調整は、ヘッドを鉛で重くしたり、シャフトの長さを変えたり、ホーゼルもんだりしてMOI数値を合わせていくようです。この辺りは、経験とノウハウが必要のようです。

今後は、重心位置とか、シャフトのしなり感とか、クラブ自体の良し悪しみたいなところも研究してみたいところです。
きっとまたjunyaakuさんが、活躍してくれると思いますw

※後日談

参考サイトとしてあげているヤードスティックさんのサイトに、簡易的にクラブのMOI(慣性モーメント)を算出するツールがありました。

これに各パーツの重量を入れて、自分のクラブのMOIを出してみました。
それがこちら。

ドライバー 2927kg-c㎡
5番ウッド 2874kg-c㎡
7番ウッド 2806kg-c㎡

5番アイアン 2953kg-c㎡
8番アイアン 3054kg-c㎡
PW 3145kg-c㎡

ドライバーは特にフィッティングもしてなくて、こんなもんかなと長めに組んだもの。結果がいいのでそのまま使っていますが、きっちりと振りやすい感じに微調整したら、5Wや7Wに揃いそうな感じはあります。

面白かったのは、アイアンです。
私のアイアンは、グリップとシャフトの重量はどの番手もほぼ同じ。ヘッド重量だけでバランスがD2に統一するように組んでいます。まあ、D2にこだわりはなくて、統一してあればなんでもいいのです。正直、他の番手とは統一せず、あんまりバランスにこだわりはありません。
アイアンの各番手はもちろん、ウッド類もすべて重心を調整して、番手間に統一感が出るようになっています。

そのアイアンのMOIは、何故か下の番手いくにしたがって重くなっていました。不思議です。言われてみれば、下の番手のほうが重量感がある気もしますが、そんなもんなんだと思っていました。

これは簡易的に出したものですが、実際にクラブMOIを測定すると、もっと色々なことが分かりそうです。

<参考サイト>

 - ゴルフ界の話