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フジクラ、新生「スピーダー」発売!

      2020/07/06

speederspec

フジクラの新しいシャフト「Motore Speeder(モトーレ スピーダー)」が、9月6日に発売になりました。
「スピーダー」といえば、2000年ごろにフィル・ミケルソンが「SPEEDER757」を使用。その後、アーニー・エルスをはじめ多くのPGAツアー有力選手が使用し、世界的なブームになったシャフトです。

当時から、日本メーカーの技術力は高いものと思っていましたが、それでもクラブにせよ、ボールにせよ、日本のプロダクトがアメリカでシェアをとることなど考えられなかった時代です。

その少し前には、アメリカではトゥルーテンパーの「EI-70」という硬くて重いシャフトが流行っていました。その他はアルディラ、ハリスンなどがポピュラーでしたね。USTマミヤのプロフォースも頑張ってました。マミヤは厳密には日本メーカーですね。

しかし、「スピーダー」の大ヒットが契機となり、フジクラは一気に世界有数のシャフトメーカーになりました。95年にアメリカの生産工場を作っているはずですが(未確認)、メーカーの純正シャフトなどのOEMも拡大し、アメリカでのシェアを大きく拡大しました。日本製品の優位性が、世界最大のゴルフ大国であるアメリカでも認められたのです。

他の日本メーカーもその前後にアメリカ進出が加速します。「スピーダー」のヒットはその追い風になったと思います。もし「スピーダー」がなかったら、タイガーが現在、「TOUR AD」や「Diamana」を使うこともなかったかもしれません。

そう考えると、フィル・ミケルソンは偉大だなと感じます。
ドライバーを2本入れたり、ウェッジを増やしたり、「フューチュラ」のような大型マレットを試したり、最近では”フランケンウッド”といって、ティーショットに使えるFWを使ったりしています。
あれだけの感覚派でありながら、新しいアイディアやテクノロジーを試すことに躊躇がないんですよね。
だてにメジャーリーグの入団テストを受けていないです(笑)

余談ですが、この2000年前後には、ゴルフギアの歴史で大きな出来事がいくつも起こります。

ひとつはこの「スピーダー」に代表される日本メーカーのシャフトの台頭。
二つ目は、ゴルフギアの歴史上、最も売れたと言われるボール、タイトリスト「PRO V1」の発売。
三つ目は、テーラーメイドの黒いヘッド、「300シリーズ」の登場です。数あるゴルフメーカーのワンオブゼムに過ぎなかったテーラーメイドが、躍進するきっかけになったクラブです。

90年代後半は、日本のプロと海外プロとのドライバーの飛距離差が最も縮まった時期でもあります。
ジャンボ尾崎さんの影響で2ピースソリッドボールを使用する時期が早く、チタンと2ピースの組み合わせで大きく飛距離を伸ばしていました。一方、海外のプロはその頃、糸巻きボールが主流。チタンを使うプロはいましたがステンレス製の小ぶりなドライバーを使うプロも少なくなかった頃です。
道具のアドバンテージを活かし、そのころの日本のプロはそれほど飛距離でも負けていません。

しかし、「PRO V1」、「300シリーズ」が登場した2000年以降、(1)ウレタンカバーのソリッドボール、(2)大容量のチタンドライバー、(3)フィジカルトレーニングという3つの要因で、日本のプロとの飛距離差は大きく開きました。

伊澤利光プロが、2001年にマスターズで4位。丸山茂樹プロがPGAツアーで勝利したり、2002年のワールドカップでこのコンビで45年ぶりに優勝したりしています。しかし、2000年代半ばになると日本選手の海外での活躍は減少します。この二人が突出して優れた選手であるのは疑いようがないですが、一方で上記のようなギアの変化が、それ以降、日本選手が海外で苦戦する大きな要因になっていると感じます。

newspeeder

そして今回の新「スピーダー」です。
恥ずかしながら、発売記念のUSREAMライブに出演させていただきました。
フジクラさんのWEBサイトで、アーカイブがあるので是非チェックしてみてください。

配信の中では、かなり「旧スピーダー」でチーピンを打ったという話が出てきましたが、あれも言ってみれば優れたシャフトであった証左です。それまでのカーボンシャフトの感触とは異質な、抜群の走り感で活き活きと仕事する「スピーダー」の出現は衝撃的でした。シャフトの挙動やマッチングなどを真剣に考える契機にもなったシャフトであるとも言えます。やはり歴史的なシャフトだったのです。

新生「スピーダー」もやはり動きがあるシャフト。
中間から先端にかけての走り感を飛ばしのエネルギーに変えると、大きくポテンシャルを引き出せると思います。マークさんは、軽めの重量帯ですこし長くするセッティングがオススメと言われてますね。飛距離重視のスペックです。この場合は、ヘッド重量があまり重くないものを選びたいところです。

先端部分が仕事してくれるシャフトということで、最近多い重心距離が長めのドライバーと相性がいいのではないかと思います。以前、「つかまるヘッドとつかまらないシャフト」という記事を書きましたが、自分の打ちたい球筋にヘッドとシャフトを合わせられるといいですね。

私自身は現在「ROMBAX Type-S」ユーザー。挙動が安定し、気に入っています。同じ先中調子といっても完全に別物といえます。「スピーダー」はそれに比べると、ちょっとピーキーで大きなミスが出る可能性もありますが、長尺使用にしてぶっ飛ばすと気持よさそうです。シャフトが仕事して、飛ばす楽しみを改めて味わえるシャフトになっていると思います。ちょっと検討中です。

9月6日は、USTマミヤから「ATTAS 5GOGO」、三菱レイヨンから「Diamana W」も発売されています。なにも同時にしなくてもという気がしますが。グラファイトデザインからは新シャフトの「MT」が秋ごろ登場予定。シャフト選びには楽しみな季節がやってきますね。

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