3代目となるNEW「VG3」フルラインナップで発売! 〜タイトリスト新製品発表会 2014年〜
2020/07/06
日本限定ブランド「VG3」がモデルチェンジ
タイトリストの日本限定ブランド「VG3」の新製品発表会が青山で行われました。実際に試合でも「VG3」を使用されている芹澤信雄プロ、菊地絵理香プロも登場されています。
先日、週刊ゴルフダイジェストで、ツアープロ90人のクラブセッティングにコメントするという仕事があったのですが、女子プロの中で最もセットのバランスのよさを感じたのが菊池プロと堀奈津佳プロでした。そんなことや日本女子オープンの戦いぶりもあって、印象の強いプロです。
一方、芹澤プロはキャロウェイからタイトリスト契約となり、もう5年になるとか。完全に「VG3」の顔ですね。
そんなわけで、駆け足で各種新製品を紹介します。
ドライバーは2モデルで、弾道調整機能つき
今回の3代目「VG3」のポイントは、ドライバーが2機種になったこと。
ヘッド体積がそれぞれ、450ccと460ccになるのですが、面白いことにモデル名で区別せず、450ccは9.5度。460ccは10.5度になります。
よくあるパターンとしては上級者向きの小ぶりヘッドは”430”。
大型で優しいモデルは”460”といったかたちで、ヘッド体積がモデル名になったりする事がありますが、今回の「VG3」は、ロフト表示がそのモデル名の役割を果たしているわけです。
上の写真は9.5度モデル。450ccの洋ナシ形状というインフォメーションでしたが、わりと丸っこい感じで安心感のある形状です。前作の「VG3」に近いのはこちらにも言えますが、よりシャローバックが強調されています。
10.5度のモデルは、かなりのシャローバックで投影面積が大きいタイプ。
ボールが上がりやすく、ミスに強そうな形状です。
今回の「VG3」は、ヘッドカラーがブルー調になった他、タイトリストではお馴染みの「シュアフィットツアー」と呼ばれるロフト角とライ角を別々に調整できる弾道調整機能が採用されていました。
私自身は正直なところ、あんまり弾道調整機能が好きではありません。
ネックにいわゆる”カチャカチャ”機構が付いていると、手に感じる感触があまり良くない気がします。また見た目の太さも気になります。各メーカーでそれぞれ独自機能なので、あまり気にならない場合もあるのですが。
前作、前々作の「VG3」は、弾道調整機能のないハイエンドドライバー。バランスが良く、飛距離性能も相当高かったので、中上級者に人気があったようです。調整機能がないことを私自身は評価しているので、少し複雑なところです。
しかし、芹澤信雄プロは、「シュアフィットツアー」がついたことで、シャフトが簡単に交換できすごく良くなったと絶賛されていました。フィッティングの行いやすい弾道調整機能のメリットは、プロにもアマにも有効だと思うので、まあこれは時代の流れなのかもしれません。
並べてみるとヘッド後方の形状の違いが一目瞭然。
右が10.5度で、後方がより張り出した顔になっています。どちらも安心感のあるやさしさを感じる形状です。
ドライバーは、純正品が80,000円(税抜)
TOUR AD MTシャフト装着の場合は、92,000円(税抜)と高額価格帯。
ゼクシオやPHYZ(ファイズ)、グローレなどが競合になりそうです。
パーツにも注目
ラインナップの中には、三菱レイヨンの新製品「フブキJ」がありました。カウンターバランスになる新理論のシャフトです。50g代のシャフトよりも、60g台のシャフトを装着したほうがバランスが軽くなっていました。
これは注目作です。
グリップもエンド部分が赤い、独特のグリップが純正品として装着。
この赤い部分が、より硬くなっていて、インパクトに好結果を生み出すとか。
アイアンやFW、UT、ボールも
こちらが新しい「VG3」アイアン。
やさしい軟鉄鍛造アイアンとして人気のあった前作に比べ、多少シャープになった印象があります。トレーリングエッジとリーディングエッジにそれぞれ面取りが施され、締まって見えるアイアンです。
面白かったのが、この「VG3 TYPE-E」アイアン。
ソール形状が独特で、SWなんてバンカー専用ウェッジのような肉厚形状です。しかし、ワイドソールでかつ抜けの良さそうなデザインで、やさしそうに見えます。
テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、タイトリストと海外ブランドのアイアンは、バウンス角が強い傾向があります。このモデルもその傾向がありますが、「タイプE」のほうは、ワイドソールのためかややおとなしめのバウンスです。
その他にもFW,UTなどするモデルチェンジ。
「VG3」ボールも新しくなります。
海外ブランドのマーケティング戦略
あくまでも概してですが、海外ブランドのメーカーのほうが、マーケティングが明確であるように見えます。なので、新製品の発表も面白い事が多いです。発表会に限らないですが、定性的でとりとめのない話をされるのは辛いです。
その点、今日の発表会はこんな感じでわかりやすかったです。
例えば、「VG3」ボールについてユーザーにアンケートをとったところ、下記のような結果になったといいます。
年齢層は30代、40代に比べ、50代、60代ゴルファーが多い。
ハンディは、10から20くらい。
年間のプレー回数は、25回以上。
↓
その結果、年齢層はやや高め。スキルが高く、熱心なゴルファーという顧客像。ユーザーが求める性能は、1位が飛距離。2位が打感。
前作の「VG3」は飛距離と打感の評価が高く、95%の人がまた使いたいと回答している。↓
前作の良さを生かしつつ、さらに飛距離とソフトな打感を追求するように開発チームにフィードバック。
こんな感じで、戦略立案が非常にロジカルで明快なのです。
ややもすると、開発したテクノロジーや性能向上の結果が主張されがちなのですが、まず対象ユーザーありき。そこからどのようなマーケティング戦略を立てるかという筋道がはっきりしています。うんざりするほど余計なお世話ですが、社内のコンセンサスも取りやすいのではないでしょうか?
このへんが不明瞭だと、道具としてどんなに高性能な製品を作っても評価されるのは難しいでしょう。
写真は、今回から投入されるウィメンズモデル。
タイトリストの女性物はあまり記憶になかったですが、今回はフルラインナップの本格派です。
ここ数年の国内市場での成長によって、国内でもタイトリストは200億以上の売上となっているのではないかと思われます(推測)。そこからさらなる成長を実現するにあたり、「VG3」のようなプレミアムラインの拡充や女性物の展開を行なうというのは、これも極めてロジカルで合理的な戦略だと思います。当たり前すぎるほどに。
ゴルフ業界にいると、景気が良くなった悪くなったという話をよく聞かされるので、暗澹たる気持になってきます。下降トレンドの業界であっても、合理的な戦略を打っているところは業績が向上しているわけで、思考停止になるのはいかにもまずいなと思う次第です。自戒を込めて。